電験一種が難しいはずがない!

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ニュートン・ラフソン法とは名ばかりの易問!令和3年度電力・管理問3

ニュートン・ラフソン法を使うのかと思いきや、問題をよく読むとオームの法則と電流の保存則を使うだけのかなりの易問

令和3年度電験一種二次電力・管理問3その1
令和3年度電験一種二次電力・管理問3その2

問題文は試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センターより引用。

私の解答

(1) 母線1についての電流の保存則から \displaystyle \dot{I_1} = \frac{\dot{V_1} - \dot{V_2}}{jX_{12}} + \frac{\dot{V_1} - \dot{V_3}}{jX_{13}}
 \displaystyle = -j\dot{V_1}(\frac{1}{X_{12}} + \frac{1}{X_{13}}) + j\dot{V_2}\frac{1}{X_{12}}+ j\dot{V_3}\frac{1}{X_{13}}
回路の対称性より、この等式は添え字の1,2,3を自由に入れ替えても成り立つ。
したがってノードアドミタンス行列は、
 \displaystyle [\dot{Y_{kl}} ]= \begin{pmatrix} -j(\frac{1}{X_{12}}+\frac{1}{X_{13}}) & j\frac{1}{X_{12}} & j\frac{1}{X_{13}} \\
j\frac{1}{X_{12}}&-j(\frac{1}{X_{12}}+\frac{1}{X_{23}})&j\frac{1}{X_{23}} \\
j\frac{1}{X_{13}}&j\frac{1}{X_{23}}&-j(\frac{1}{X_{13}}+\frac{1}{X_{23}}) \end{pmatrix}

(2) 母線1からに2流れる電流を \displaystyle \dot{I_{12}}とおくと、
この部分のπ等価回路において母線1の側の分岐点における電流の保存則を考え、
 \displaystyle \dot{I_{12}} = \frac{\dot{V_1} - \dot{V_2}}{j0.1} + j\dot{V_1} = -j9\dot{V_1} + j10\dot{V_2}
同様に
 \displaystyle \dot{I_{13}} = -j9\dot{V_1} + j10\dot{V_3}より
 \displaystyle \dot{I_{1}} = -j18\dot{V_1} + j10\dot{V_2} + j10\dot{V_3}
直列リアクタンスおよびキャパシタンスは添え字1,2,3に関して対称であるから、
ノードアドミタンス行列は
 \displaystyle [\dot{Y_{kl}} ]= \begin{pmatrix} -j18 & j10 & j10 \\
j10 & -j18 & j10 \\
j10 & j10 & -j18 \end{pmatrix}

(3) 電力およびノードアドミタンス行列の定義から
 \displaystyle P_k + jQ_k = \dot{V_k}\overline{\dot{I_k}} = \dot{V_k} \sum_{l = 1}^3 \overline{\dot{V_l}(G_{kl} + jB_{kl})}
 \displaystyle = \sum_{l = 1}^3  |\dot{V_k}| |\dot{V_l}|  \{ \cos (\theta_k - \theta_l) + j\sin(\theta_k - \theta_l) \} (G_{kl} - jB_{kl})
したがって
 \displaystyle P_k = \sum_{l = 1}^3  |\dot{V_k}| |\dot{V_l}|  \{ G_{kl}\cos (\theta_k - \theta_l) + B_{kl}\sin(\theta_k - \theta_l) \}
 \displaystyle Q_k = \sum_{l = 1}^3  |\dot{V_k}| |\dot{V_l}|  \{ G_{kl}\sin(\theta_k - \theta_l) - B_{kl}\cos(\theta_k - \theta_l) \}

(4) (3)の式に(2)のノードアドミタンス行列から得られる \displaystyle B_{kl}および問題文で与えられた値を代入して
 \displaystyle 0.7 = 10.5\{ \sin\theta_2 + |\dot{V_3}| \sin(\theta_2 - \theta_3) \}

(5) (4)の式の右辺に問題文で与えられた \displaystyle \theta_2, \theta_3, |\dot{V_3}|を代入すると0
したがって残差は0.7である。

回路が対称なので実質的な計算量はかなり少ないし、ニュートン法ヤコビアン逆行列を計算することもない。
残差に至っては右辺がゼロになるので左辺の値をそのまま答えるだけ。