複素電圧・電流・電力・インピーダンスと単位法
昨日は電験一種二次の電力・管理の過去問をぱらぱらめくりながらわからない用語を抜き出した。
その中で、令和二年度の電力・管理の問2はすごく簡単に解けそうに見えた。
解くのに必要そうな知識はたぶん次のような感じである。
- 複素電圧・電流とインピーダンス
- 複素電力
- 単位法
よってこの記事で、これらの知識を調べてまとめることにする。
複素電圧・電流
交流電圧はふつうのように書ける。*1
ここまでは高校で習う。
これにという複素数を対応させる。
(上式右辺のVは電圧の実効値で、である)
電気工学系ではVの上のドットは複素数値であることを明示する意味があるらしい。
は虚数単位である。電気工学系ではiの代わりにjを使うらしい。
電流も同様ににを対応させる。
すると超うれしいことに、電気回路における抵抗・コイル・コンデンサを統一的にオームの法則で取り扱うことができる。
すなわち、抵抗と電圧降下の間にという関係が成り立っていたのが、
交流回路でもそのままとして(複素数の)電圧降下を考えることができる。
このときのが(複素)インピーダンスである。
複素電力
高校でやった通り、ある素子が消費する単位時間あたりのエネルギー、すなわち電力はで求められる。交流では電圧・電流が時刻とともに変わるので積分して平均すれば求まる。*2
(ただしTは1周期分の時間、である。)
(積和公式)
(実効値を使って表示した)
大きさが積になってて、角度が差になってるので、これは複素電圧・電流で考えた場合、片方を複素共役をとって積を求めていることになる。
すなわちを考えると、
となって、の実部をみることで交流回路における消費電力を求めることができる。
これは便利。
(実部を考えた場合どっちの複素共役を取っても一緒になるが、遅れがどうとかでどっちかを採用するらしい。)
とあらわしたとき、を皮相電力(単位(ボルトアンペア))、Pを有効電力、Qを無効電力(単位Var)、を力率と呼ぶようだ。
単位法
回路全体の諸元をそれぞれ基準値で割って無次元化して回路を解析する手法のことらしい。
すなわち、電圧も電流もインピーダンスもすべてそれぞれ基準値で割って、それぞれ1 p.u.とする単位系を用いる。
基準値が何になるかは文脈による。ふつうは定格電圧・電流と呼ばれるものが基準値であるようだ。
変圧器の解析をするときにとてもありがたいらしいが、よくわからないので変圧器の勉強をするときにもう一度調べる。