電験一種が難しいはずがない!

電気系知識なしの社会人がいきなり電験一種取得を目指して勉強するブログ

電験一種二次の潮流計算問題を解くのに使う知識

昨日の記事で複素電力等についてまとめたが、潮流計算問題を解くのにあると便利な知識をもう少しこの記事でまとめる。

流入する電力

潮流計算問題には注入する、あるいは流入する電力という謎概念がよく登場する。
これは注入される点の電位を \displaystyle \dot{V}、電力を注入する電線に流れる電流を \displaystyle \dot{I}としたとき \displaystyle \dot{V}\overline{\dot{I}}としたもの*1のようである。
注入される点まわりの電流に関するキルヒホッフの法則を考えれば
 \displaystyle \sum_{k} \dot{V}\overline{\dot{I_k}} = \dot{V} \sum_{k} \overline{\dot{I_k}} = 0となるので、
注入される電力には保存則が成り立つように見える。

π形等価回路

送電線の損失のモデルの一つ。もうちょっと厳密にやりたいときは分布定数回路でモデル化する場合もあるらしい。
この辺、電験の出題者はモデルの取り扱い方が雑な気がする。問題文で「送電線のπ形等価回路を示し」などと書かれている場合、暗黙に送電線の損失をπ形等価回路で近似しろ、という意味なので注意。
私はこのブログではπ形等価回路近似と呼ぶことにする。
二回線送電している場合、二回線合わせたπ形等価回路におけるリアクタンスは一回線のときの半分、サセプタンスは一回線のときの二倍(インピーダンスが半分)になることに注意。

インピーダンスレジスタンス・リアクタンス・アドミタンス・コンダクタンス・サセプタンス

インピーダンスの実部・虚部およびインピーダンスの逆数、およびその実部・虚部それぞれに全て名前がついている。草
インピーダンスの実部をレジスタンス、虚部をリアクタンスという。
インピーダンスの逆数をアドミタンスといい、アドミタンスの実部をコンダクタンス、虚部をサセプタンスという。

直列リアクタンス・並列サセプタンス

謎用語。これぐぐっても用例がほとんど出てこない(並列サセプタンスの検索結果90件)テクニカルタームなんだろうか?
多分気持ちとしては送電線をπ形等価回路近似したときの送電線に対して直列につなぐリアクタンス、並列につなぐサセプタンスという感じなんだと思う。

調相設備

送電線の受電端(あるいは中間)に設けられる無効電力を消費して電流の位相を調節する装置。
理想的には静電容量のことのようなのだが、問題文で明示されずとも暗黙的に静電容量であることが仮定されているようだ。
そういうのを暗黙にする取り扱いは本当によくないと思う。
ちょっと話が逸れるが、標準状態の気体の体積(あるいは気体定数)を与えてない問題もあった。アボガドロの法則は理想気体でしか成り立たないんだが。*2
酸素と窒素だからずれは少ないとは言え、有効数字3桁なのに暗黙に22.4リットルを受験者に使わせるのはちょっと問題あると思う。
正直、問題作ってる人がアレなんだろうかと思う。解く側もおかしいと思わないのかな。

三相交流

三相交流は位相が \frac{2\pi}{3}ずつずれた3本の線で交流を送る方式のことなんだけど、
「送電線電圧」は線間電圧の実効値で表し、その値を「公称電圧」と言う。
らしいので送電線の公称電圧が与えられたとき、三相交流の場合相電圧は公称電圧の \frac{1}{\sqrt{3}}倍になることに注意が必要。

系統定数・周波数変動

発電機出力の出力が微小量 \displaystyle \Delta P_G変化したとき、系統周波数がそれに比例して
 \displaystyle \Delta F = - \frac{\Delta P_G}{K_G}だけ変化する(一次近似してるだけ)。
 \displaystyle K_Gは発電機の周波数特性定数(あるいは系統としてみた場合系統定数 \displaystyle K_C)などと呼ばれるようだ。

同期連系・非同期連系

交流連系があった場合、両系統の周波数変動は一致する。

これで

昨日の記事の知識とあわせれば電験一種二次電力・管理の

  • 令和4年度問2
  • 令和3年度問3
  • 令和初年度問4
  • 平成30年度問4
  • 平成28年度問6

あたりが解けるはず。

*1:遅れ力率を正として

*2:たとえば二酸化炭素だったら理想気体の状態方程式は標準状態でも結構ずれる

はじめて電験の問題解くぞ!令和2年度電験一種二次電力・管理問2

前回の記事で

についてまとめた。なので多分その知識を使って令和2年度電験一種二次電力・管理の問2が解けるはず。
という訳で解いてみた。

令和2年度電験一種二次電力・管理問2

問題文は試験の問題と解答 | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センターより引用した。

私の解答

(1)送電線での電圧降下を考え \displaystyle \dot{V_2} + \dot{I}(r + jx) = \dot{V_1}
 \displaystyle r\dot{I} \parallel \dot{I}また \displaystyle jx\dot{I} \perp \dot{I}に注意して図示すると次のようになる。

図(1)

図がいい加減すぎてV, Iの上にドットが書けませんでした。心の目で補って下さい。

(2)複素電力の定義から \displaystyle \dot{V_1} \overline{\dot{I}} = P + jQ
 \displaystyle \Leftrightarrow \dot{I} = \overline{\frac{P + jQ}{\dot{V_1}}} = \frac{P - jQ}{\overline{\dot{V_1}}}

(3) (1)に(2)の結果を代入して
 \displaystyle \dot{V_2} + (r + jx)\frac{P - jQ}{\overline{\dot{V_1}}} = \dot{V_1}
 \displaystyle \Leftrightarrow \overline{\dot{V_1}} \dot{V_2} + (P - jQ)(r + jx) =  \dot{V_1} \overline{\dot{V_1}}
 \displaystyle \Leftrightarrow V_1 V_2 (\cos{\delta} - j\sin{\delta}) + Pr + Qx + j(Px - Qr) =  V_1^2
したがって
 \displaystyle V_1 V_2 \cos{\delta} + Pr + Qx = V_1^2 \tag{1}
 \displaystyle Px - Qr - V_1 V_2 \sin{\delta} = 0 \tag{2}
①Q + ②Pより
 \displaystyle QV_1 V_2 \cos{\delta} + P^2x + Q^2x - PV_1 V_2 \sin{\delta} = QV_1^2
 \displaystyle \Leftrightarrow x = \frac{QV_1^2 + V_1 V_2 (P\sin{\delta} - Q\cos{\delta})}{P^2+ Q^2}
①P + ②Qより
 \displaystyle PV_1 V_2 \cos{\delta} + P^2r + Q^2r + QV_1 V_2 \sin{\delta} = PV_1^2
 \displaystyle \Leftrightarrow r = \frac{PV_1^2 - V_1 V_2 (P\cos{\delta} + Q\sin{\delta})}{P^2+ Q^2}

(4)
①より \displaystyle \cos{\delta} = \frac{V_1^2 - Pr - Qx}{V_1 V_2}
 \displaystyle = \frac{1.08^2 - 1.2 \cdot 0.0414 - 0.245 \cdot 0.215}{1.08 \cdot 1.02} = 0.966
②より \displaystyle \sin{\delta} = \frac{Px - Qr}{V_1 V_2}
 \displaystyle = \frac{1.2 \cdot 0.245 - 0.0414 \cdot 0.215}{1.08 \cdot 1.02} = 0.259

採点

で、 \displaystyle 0.966^2 + 0.259^2 = 1.00なので合ってるはず。標準解答確認。
公式の標準解答みると少し項のまとめ方が異なるが、一致しているので合っているはず。

電験一種の問題、早速一問ノーミスで解けたぞ!!やっぱこの問題超かんたんだったじゃん!!*1この調子!!!!!*2

*1:オームの法則と電力の定義を使うだけの問題で草

*2:記事を書くのに問題解くのの3倍の時間がかかった。

複素電圧・電流・電力・インピーダンスと単位法

昨日は電験一種二次の電力・管理の過去問をぱらぱらめくりながらわからない用語を抜き出した。
その中で、令和二年度の電力・管理の問2はすごく簡単に解けそうに見えた。
解くのに必要そうな知識はたぶん次のような感じである。

よってこの記事で、これらの知識を調べてまとめることにする。

複素電圧・電流

交流電圧はふつう \displaystyle V = V_{max} \cos{(\omega t + \phi)}のように書ける。*1
ここまでは高校で習う。
これに \displaystyle \dot{V} = Ve^{j\phi}という複素数を対応させる。
(上式右辺のVは電圧の実効値で、 \displaystyle \sqrt{2}V = V_{max}である)
電気工学系ではVの上のドットは複素数値であることを明示する意味があるらしい。
 \displaystyle j = \sqrt{-1}虚数単位である。電気工学系ではiの代わりにjを使うらしい。

電流も同様に \displaystyle I = I_{max} \cos{(\omega t + \phi)} \displaystyle \dot{I} = Ie^{j\phi}を対応させる。

すると超うれしいことに、電気回路における抵抗・コイル・コンデンサ統一的にオームの法則で取り扱うことができる
すなわち、抵抗 \displaystyle Rと電圧降下 \displaystyle Vの間に \displaystyle V = RIという関係が成り立っていたのが、
交流回路でもそのまま \displaystyle \dot{V} = \dot{Z}\dot{I}として(複素数の)電圧降下を考えることができる。
このときの \displaystyle \dot{Z}が(複素)インピーダンスである。

複素電力

高校でやった通り、ある素子が消費する単位時間あたりのエネルギー、すなわち電力は \displaystyle P = VIで求められる。交流では電圧・電流が時刻とともに変わるので積分して平均すれば求まる。*2
 \displaystyle P = \frac{1}{T} \int_{0}^{T} \{ V_{max} \cos{(\omega t + \psi)} \} I_{max} \cos{(\omega t + \phi)} \, dt
(ただしTは1周期分の時間、 \displaystyle \omega T = 2\piである。)
 \displaystyle P = \frac{V_{max} I_{max}}{T} \int_{0}^{T} \cos{(\omega t + \psi)} \cos{(\omega t + \phi)} \, dt
 \displaystyle = \frac{V_{max} I_{max}}{2T} \int_{0}^{T} \{ \cos{(2 \omega t + \psi + \phi)} + \cos{(\psi - \phi)} \} \, dt (積和公式)
 \displaystyle = \frac{V_{max} I_{max}}{2T} \biggl[ \frac{\sin{(2 \omega t + \psi + \phi)}}{2\omega} + t \cos{(\psi - \phi)} \biggr]_{0}^{T}
 \displaystyle = \frac{V_{max} I_{max}}{2} \cos{(\psi - \phi)}
 \displaystyle = VI \cos{(\psi - \phi)}(実効値を使って表示した)

大きさが積になってて、角度が差になってるので、これは複素電圧・電流で考えた場合、片方を複素共役をとって積を求めていることになる。

すなわち \displaystyle \dot{S} = \dot{V} \overline{\dot{I}}を考えると、
 \displaystyle \dot{S} = VIe^{j(\psi - \phi)} = VI \{ \cos{(\psi - \phi)} + j\sin{(\psi - \phi)} \} となって、 \displaystyle \dot{S}の実部をみることで交流回路における消費電力を求めることができる。
これは便利。
(実部を考えた場合どっちの複素共役を取っても一緒になるが、遅れがどうとかでどっちかを採用するらしい。)

 \displaystyle \dot{S} = P + jQとあらわしたとき、 \displaystyle S = |\dot{S}| を皮相電力(単位 \displaystyle V \cdot A(ボルトアンペア))、Pを有効電力、Qを無効電力(単位Var)、 \displaystyle \frac{P}{S}を力率と呼ぶようだ。

単位法

回路全体の諸元をそれぞれ基準値で割って無次元化して回路を解析する手法のことらしい。
すなわち、電圧も電流もインピーダンスもすべてそれぞれ基準値で割って、それぞれ1 p.u.とする単位系を用いる。
基準値が何になるかは文脈による。ふつうは定格電圧・電流と呼ばれるものが基準値であるようだ。
変圧器の解析をするときにとてもありがたいらしいが、よくわからないので変圧器の勉強をするときにもう一度調べる。

*1:矩形波みたいな交流はどうするんだろう?フーリエ変換

*2:電圧と電流の向きが反対のときは負の仕事をしていることになる。直流ではこのようなことはなかった。

電験一種二次平成30年度~令和4年度電力・管理計算問題わからない用語まとめ

ぱっと見、電力・管理は配電や変電の問題が多いようだ。

変圧器

たぶん電圧を変える機械っぽい。タップ付きのものがある。タップって何だ?

一次側と二次側というのがある。名前からして一次側は発電機に近いほうだろうか。

定格電圧なるものがあるらしい。定格容量というのもあるらしい。

リアクタンスが漏れるらしい。リアクタンスは大体パーセントで表記されている。励磁インピーダンスが発生するらしい。巻線抵抗があるらしい。

理想変圧器というものがあるらしい。これらが発生しないということだろうか。

二次側にはだいたい負荷があるようだ。

鉄損、銅損という損があるらしい。

循環電流というのが流れる場合があるようだ。

背後インピーダンスというものがあるようだ。

負荷

送電先にあるもの。電力を消費する機械とかだろう。

遅れや進みがあるっぽい。交流は電圧をベクトル量で考えるっぽいので多分もとの電圧と電圧降下後の電圧の位相の差を負荷の遅れや進みといってるだろうか。

負荷にも容量があるらしい。

有効電力・無効電力というのがあるらしい。よくわからん。

負荷から高調波が発生するらしい。

単相・三相

単相はたぶん普通の交流。三相はなんか位相が2π/3ずつずれた3つの交流らしい。

三相交流には相電圧・線間電圧とあって、相電圧は地面との電位差で線間電圧は線同士の電位差っぽい。デルタ結線とスター結線で相電圧と線間電圧の関係がかわる。

発電機

短絡比というのがあるらしい。

地絡

送電線が地面につながってしまうことだろうか。保護リレーというものでなんか保護するらしい。地絡距離リレーというなんかがある。

潮流

送電の系統が二つ以上あるときの系統間の電力のやりとりだろうか。

母線・送電線

送電線のことらしい。こう長は長さのことらしい。直列リアクタンス、並列サセプタンスがあるらしい。インピーダンスアドミタンスもあるっぽいがこれはたぶんリアクタンスとサセプタンスと相互変換できる何かだろう。

単位法とは何だ。単位法の単位はp.u.っぽい。

無限大母線というものがある。なんかが理想的な発電機につながった母線のことのようだ。

二回線送電

π形等価回路というものがあるらしい。単線送電もあるっぽい。

 

水力発電の問題もあったが、とりあえずこの辺で。

電験一種受験についてありそうな質問&勉強の方針

どうして電験三種から受けないの?

Youtubeでちゃらちゃらしたお姉さんが電験三種に受かっててこんなん誰でも受かりそうだと思ったから。

どうして電験二種を受けないの?

電験二種の過去問を見てみたら同じように全て意味不明で、こんなん電験一種の問題となんにも変わらないだろ、じゃあ一種でいいじゃんと思ったから。

ほかに資格持ってる?

運転免許(AT)。

合格したら転職するの?

しない。電気の勉強をしてみたかったのと、なんか簡単に受かりそうと思ったから勉強して受けてみるだけ。

勉強の方針

本屋に行ってみたが、電験一種の参考書はなかったので電験二種の対策本(不動弘幸著『電験二種完全攻略 二次試験対応(改訂2版): 過去問240問を体系的に学ぶ』というやつ)を買った。

過去問をみたら電験二種も電験一種もなんか同じような感じ(電気用語の意味はわからなかったが)なので電験二種の問題集解けば受かるだろう、たぶん。あと、電験一種の本は高すぎる。金のムダ。

電験一種には一次と二次があるらしいが、まあ普通に考えて二次試験の問題を解いておけば一次は受かるだろう、たぶん。

というわけでネット上の過去問とこの一冊を解けば受かる気がしてくる。

 

問題集をぱらぱらめくるが問題文を見ても99%何言ってるかわからない。なのでまずは問題集の問題やネット上の過去問あるいはその解説を見てわからないところを調べていくことにする。

はじめに

私は電気の勉強は高校の物理でやったきりで、電気についてほとんど何も知らず、常々電気について何か勉強してみたいなと思っていました。調べていたところ、第一種電気主任技術者(通称電験一種)という資格があることを(ごく最近)知りました。

 

曰く、「電気系最高峰の資格」

曰く、「取得に一万時間の勉強が必要」

曰く、「電験三種から合わせて5年はかかる難関資格」

 

聞いたこともなければ周りで持っている人も全くいなかった資格なのに、流石にそんなに難しいはずがないだろうと思い、過去問を見てみたところ、全く問題の意味がわかりませんでした

なのに、何故か問題はなんとなく全く難しそうに見えず、ひょっとしたらこんなものはちょっと勉強したら自分にも解けるんじゃないかと(特に根拠もなく)いう気になりました。

 

そこで今日から電験一種の勉強ブログをはじめ、勉強の軌跡を残しながら電験一種を受験して、その難しさ(あるいは簡単さ?)をレポートしてみたいと思います。応援、ご指導ご鞭撻、あるいは絶対に無理だからやめておけといった制止のほど、よろしくお願いします。

誤字脱字のご指摘や、自分も電験を目指している等々、その他のコメントも大歓迎です。

 

簡単な自己紹介をします。

私は年齢は30代で電気系とはほとんど何の関係もないフルタイムの仕事をしています。

もちろん電気関係の資格も持っていませんし、大学で電気関係の授業は一単位も取っていなかったと思います。

電気については高校物理の電磁気学で勉強したのを最後にほとんど忘れています。

クーロンの法則、オームの法則キルヒホッフの法則だけは覚えているのですが、後は忘れています。磁気ってなんだっけ。交流はやった覚えがありません。授業聞いてなかったんだろうか。